最後に紹介する印刷スプールのデータ・ベースへの変換は
少し驚く方法を紹介する。
印刷スプールをデータ・ベースに変換するのは
CPYSPLF
を使うものと誰もが思っているはずなのだが
なぜそうしなければならないのだろうか ?
CRTPF FILE(QTEMP/QPRINT) RCDLEN(132)
IGCDTA(*YES) LVLCHK(*NO) AUT(*ALL)
でデータ・ベース : QTEMP/QPRINT を作成したのであるから
このデータ・ベースに直接、出力できないのだろうか?
答えは YES である。
OVRPRTF
で出力ファイルをこの QTEMP/QPRINT にオーバーライドして
印刷出力してみよう。
先の例では、
OVRPRTF FILE(QPRINT) TOFILE(QTEMP/QPRINT)
LVLCHK(*NO) SECURE(*YES) OVRSCOPE(*JOB)
OPNSCOPE(*JOB)
に印刷スプール : QPRINT をデータ・ベース : QTEMP/QPRINT に
オーバーライドさせてデータ・ベースに直接、印刷してみよう。
0001.00 PGM 0002.00 /*-------------------------------------------------------------------*/ 0003.00 /* TESTPRT4 : 印刷スプールをデータ・ベースへコピーする */ 0004.00 /* */ 0005.00 /* 2017/08/19 作成 */ 0006.00 /*-------------------------------------------------------------------*/ 0007.00 DCL VAR(&JOB) TYPE(*CHAR) LEN(10) 0008.00 DCL VAR(&USER) TYPE(*CHAR) LEN(10) 0009.00 DCL VAR(&JOBNBR) TYPE(*CHAR) LEN(6) 0010.00 DCL VAR(&TYPE) TYPE(*CHAR) LEN(1) 0011.00 DCL VAR(&RCVDTA) TYPE(*CHAR) LEN(128) 0012.00 DCL VAR(&RCVLEN) TYPE(*CHAR) LEN(4) 0013.00 DCL VAR(&APIERR) TYPE(*CHAR) LEN(116) + 0014.00 VALUE(X'000074') /* 2 進数 */ 0015.00 0016.00 /*( 環境の取得 )*/ 0017.00 RTVJOBA JOB(&JOB) USER(&USER) NBR(&JOBNBR) TYPE(&TYPE) 0018.00 0019.00 /*( データ・ベースの作成 )*/ 0020.00 CRTPF FILE(QTEMP/QPRINT) RCDLEN(132) IGCDTA(*YES) + 0021.00 LVLCHK(*NO) AUT(*ALL) 0022.00 MONMSG CPF7300 0023.00 0024.00 /*( スプールを *HOLD にオーバーライド )*/ 0025.00 OVRPRTF FILE(QPRINT) TOFILE(QTEMP/QPRINT) + 0026.00 LVLCHK(*NO) SECURE(*YES) OVRSCOPE(*JOB) + 0027.00 OPNSCOPE(*JOB) 0028.00 0029.00 /*( 印刷ジョブの実行 )*/ 0030.00 PGM102 TKFROM() TKEND(9999) OUTPUT(*PRINT) 0031.00 DLTOVR FILE(QPRINT) LVL(*JOB) 0032.00 MONMSG CPF9800 0033.00 0034.00 ENDPGM
以前のサンプル・ソースに比べて CPYSPLF
がなくなっているのでシンプルになり
もちろんパフォーマンスも良くなっている。
大量のスプールをデータ・ベースに変換したいのであれば
この方法がパフォーマンスにおいて優れている。
この OVRPRTF
を使ってデータ・ベースへ変換する方法は例外的な手段ではなく
OVRPRTF
のヘルプにも IBM がデータ・ベースへの変換ができることを
認めている記述があるのでぜひ参照してもらいたい。
また印刷スプールの PDF 化のソリューションでパフォーマンスが良くないとか
エンド・ユーザーの不満を耳にすることがある。
もしそのソリューションが印刷罫線をサポートしていなくて
パフォーマンスが良くない、というものであれば
間違いなく印刷スプールを CPYSPLF
でデータ・ベースにコピーしている製品であると
予想される。
CPYSPLF
はユーザーが社内でバッチ処理として利用するには問題ないが
ソフトウェア製品として販売する技術に採用されるべきではない。
CPYSPLF
は大量のスプールの変換にはやはり不向きであるので
対価を取って製品とするのであれば専用のスプール API を使うべきである。
【注】この方法は i5/OS のユーティリティーの印刷出力を
データ・ベース化するには使用することはできない。
i5/OS ユーティリティーの印刷は画面と同様に
パネル・グループ (*PNLGRP) として作成されており
パネル・グループ (*PNLGRP) には OVRPRTF は効かないからである。
( *PNLGRP はファイルではない )