実行環境

123. Ver7.4 の SNADS の設定

OS Ver7.4 になっていくつか変更された点で大きく影響があったのは
2019年8月20日(火)現在では

1.国際言語の導入は DVD媒体が無くなってダウンロードになった。

弊社では英語、英大文字、中国簡体字、中国繁体字、タイ語

を導入しているが実はこれらの国際言語は導入しなくても
IBM i では国際言語の表示/入力の両方を行うことができる。

2.Node.jsを始めとするオープン系の言語導入もDVD媒体がなくなってダウンロードになった。

…要はサービスともとれる提供のDVDコストさえIBMは惜しんでいるらしい。
  Ver 7.4 では R言語が可能になったという触れ込みなのだが、これでは意気消沈というところか、
  高いお金を払っているのだからセコさが目に付くのはいただけない。
  ダウンロードが面倒な人は諦めてくださいと言いたげである。

3.ANYNET(SNA over TCP/IP) が無くなった!!

これが最も影響が大きい。
元々 IBM i は トークン・リング(TokenLing) という大規模なネットワークを
使っていたのだが現在のイーサネット(Ethenet) というTCP/IPのネットワークになってからも
TCP/IPの上で SNA通信を行うという仮想的なSNAで通信することができた。

そのひとつが SNADS で STRPASTHR なども ANYNET (SNA over TCP/IP) の上に成り立っていた。
これが無くなったので、ただでさえ面倒であったSNADSの設定がさらに困難になってしまった。
簡単に言えば今までの方法では社内の複数台の IBM i の通信ができなくなってしまった。

SNADS環境は

  • DDMファイル(構内のデータ・ベースを他方のIBM iの仮想データ・ベースを見せる)
  • パス・スルー(STRPASTHR)で他方のIBM iの端末として入る
  • ファイル・コピー(構内から他方へコピー)

という非常に良い利点があった。

今回も新しく OS Ver7.4を導入したので下位のIBM iの設定を見ながら
面倒だがひとひとつ設定してみようと思ったらなんと、SNA over TCP/IP が使えなくなってしまっていた。

■ OS Ver7.4 での SNADS設定は
 ハイパフォーマンス・ルーティングに変更

Ver7.4 では ANYNET がなくなり IBM は代わりに
HPRIP (ハイパフォーマンス・ルーティング)を推奨している。

つまり CRTCTLAPPC でリンク・タイプ: *ANYNWなくなり、
代わりに リンク・タイプ:*HPRIPを使うことになる。
これは Ver7.4 側だけを *HPRIPにするだけでなく
通信の相手側のIBM iも*HPRIPとして CRTCTLAPPC でCTLを作成する必要がある。

1. CHGNETA で HPRIP使用可能を *YES に変更する

DSPNETA で見ると HPRIP使用可能はほとんど *NO になっているので

CHGNETA ALWHPRTWR(*YES)

で HPRIP を使用可能に変更しておく。
( このとき ANYNET による接続はすべてOFFにしておかなければならない )

2.APPC制御装置を作成する。

相手側のシステム名を Sxxxxxxx, IPアドレスを 192.168.1.99 とすると

CRTCTLAPPC CTLD(Sxxxxxxx) LINKTYPE(*HPRIP) RMTINTNETA('192.168.1.99') LCLINTNETA(*SYS) RMTCPNAME(Sxxxxxxx) AUT(*ALL)

として リンク・タイプ:HPRIP の制御装置(コントロール)を作成する。
装置(デバイス)は作成しなくてよい。

3,作成したAPPC制御装置をオン(*ON)に変更する

VRYCFG CFGOBJ(Sxxxxxxx) CFGTYPE(*CTLD) STATUS(*ON)

でオンに構成変更する。

4.STRPASTHR で通信可能になることを確認する。

双方のAPPC制御装置を作成して両方とも VRYON したら

STRPASTHR Sxxxxxxx

によってパス・スルーが通ることを確認する。

QSNADS によるファイル転送や DDMファイルを使用可能にする設定は 別の機会に紹介する。 今回は Ver7.4 の変更をいち早く伝えるために紹介したような次第である。