長い間、私たちは IBM i に直結している高価なドット・プリンターだけを使って
印刷してきた。
Windows 対応の ASCII プリンターや UNIX 対応の LPD プリンターが
普及してくると今度はプリンター・セッションという厄介なPCを一台、置いて
ASCII プリンターをサポートしなければならず、プリンターは安くなったものの
プリンター・セッションという新たな厄介ものを抱え込むことになった。
UNIX を始めとする TCP/IP 通信の世界では LPR/LPD という印刷プロトコルが
用意されている。
これは最近の ASCII プリンターではほとんどのプリンターが標準でサポートしており
XEROX や RICHO などの複合機も LPD をサポートしている。
LPD というのは印刷サーバー・デーモンであり、 LPR という印刷プロトコルで
LPD サーバーに印刷イメージを送信して印刷することができる。
IBM i でも LPR というコマンドが用意されていて、印刷スプールを LPR で
TCP/IP 送信で同一のネットワークにあるプリンターに送信することができる。
しかし IBM i の LPR コマンドはひとつひとつスプールを指定して印刷することしか
できない。
OUTQ に投入したスプールを自動的に LPR 印刷することはできない。
これに対して Spool ライターVer5.0 の LPR 印刷には LPR ライターという
ドライバーが用意されているので、 STRPRTWTR でライター(DEV)を指定すれば
OUTQ に投入されたスプールは自動的に次々と ASCII プリンターに自動印刷することが
できる。
さらにローカル印刷という印刷が可能である。
ローカル印刷というのは、これまでは IBM i に接続されていたプリンターに印刷を
行っていたが、そうではなくクライアント PC に接続されているプリンターに
印刷する、という手法である。
つまり WindowsPC に設定されている「通常使うプリンタ」に印刷することである。
LPR ドライバーは特定の ASCII プリンターにスプールを転送するのではなく
印刷を行ったクライアント PC の Windows LPD にスプールを戻すのである。
この結果、Windows は LPD によってスプールを受け取って
通常使うプリンタに印刷を行う。
情報システム部門はエンド・ユーザーのプリンタを管理する必要が全くない。
OUTQ はたったひとつだけで済む。
エンド・ユーザーも自らで自由にプリンタを選ぶことができる。
クライアント数が多くなった現在で今までのように情報システム部門が
多くの OUTQ やライターの管理をする必要が全く無くなるだけでなく
エンド・ユーザー自身もプリンターの停止や開始を情報システム部門に依頼したり
する必要もなくなる。
まさに必要な処理を必要とされる場所で行う、という新しい発想である。
IBM i に接続されたプリンタに印刷するのではなく
クライアント PC に接続されているプリンタに印刷する。
これがローカル印刷である。
もちろんローカル印刷ができるのは Spool ライターVer5.0だけである。