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6. Webフェーシングとは

これからこの章で紹介するWebフェーシングとは何か? についてまず説明する。

Webフェーシングとは 5250エミュレータ画面のインターフェースを
HTML に置換えて表示するソフトウェアのことを言う。

IBMも、もちろんWebフェーシング・ツールをいくつかこれまで発表してきている。

IBM WebFacing Tool は無償で試供版を使うことができるので
Webフェーシングとは、どのようなものかを試すならこれで十分である。
詳細な使い方は㈱オフィスクアトロの TechNet の

「無料でできる IBM i の Web化」
( http://www.officequattro.com/jpn/technet/contents/tnet_24.html )

を参照してもらいたい。

Webフェーシング・ツールは、輸入品を始めとして数多く市販されている。
Webフェーシング・ツールの動作原理は概ね次のような構成である。

ご覧のように Webフェーシング・ツールは
HTTPサーバーの中で稼動してWebフェーシングが出力したHTMLを
HTTPサーバーがクライアントのブラウザへ送信している。

ただし IBM WebFacing Tool の場合は、
これにHTTPサーバー(Apache)+ WebSphare Application Server を必要とする。
HTTPサーバー: Apache が HTMLを送信するだけであれば WAS (=WebSphare Application Server)は
全く技術的には不要であるのだが IBM が WAS を売りたい、という理由から
全く政治的というか営業的理由から WAS を条件としている。

同じ理由ではないが海外輸入製品でも WAS を必要とするものもある。
WAS というのは Java が動作するためのプラットフォームであり、IBM が
かつて中国に Sanfrancisco Project と称してJava の開発、
とりわけ WASの開発に大量投資したために、
それを取り戻したいという欲求の幻影のように見えてしまう。

また海外輸入ソフトウェア製品が WAS を必要としているのは、
その製品そのものが Java で開発されているためという理由が大きい。
しかし WAS は IBM i のCPUを大量に消費し投資に見合うだけのパフォーマンスを得ることができない。

また Java で開発する製品は IBM i に特化した開発者を集めるのが難しく
安いJavaの開発者だけを集めて開発したせいでもと考えたくなる。
Java で開発された製品は動作が遅くて重いだけで IBM i のユーザーにとっては何のメリットもない。
使うユーザーの立場から見ればどのような言語で開発されとていたのかは問題ではなく
要は高速で軽々と動作する製品のほうが望ましいのは当然のことである。

ところが国内の輸入ディーラーはこの遅さには何ら言及することなく販売するだけである。
これはエンド・ユーザーのためになっているのだろうか ?

C言語で開発した製品であれば WASは必要ない。
WAS を必要とするのは開発側の理由だけである。
今では IBM ですら WAS のことはあまり口にしなくなった。
静かに消えていってもらいたいモジュールになっているようである。

参考までに Java や JSP を動作させるための環境をセットするAPI が実はIBM i からも提供されていて
これを使うと独自の Java 実行環境(JNI)を構築することができる。
さらに WAS よりも高速に動作する実行環境を構築することができる。

冒頭より批判めいた記述になってしまったが Webフェーシングを学習する当たってあまりにも
売り手側、開発側の事情によって肝心の IBMユーザーに負担を強いている例が多いのが事実なので
あえて第一回目より輸入製品の販売に苦言を呈したような次第である。
WAS が必要だという海外輸入製品はまず候補からはずしてよいだろう。

それでは次回からはなぜWeb化が必要であるのかからジックリと考えてみよう。