IBM iからレーザー・プリンタや複合機に直接印刷したいという
要望が今ほど高まっている時期はない。
同時にそれは「プリンタ・セッションを廃止したい」という要求から
来ている。
プリンタ・セッションというのは印刷用の5250エミュレータのことである。
Windows PCに導入された5250エミュレータを使って市販のプリンタに
印刷出力するための5250構成のことをプリンタ・セッションと
呼んでいる。
今まではIBM iから印刷出力するには IBMが用意したIBM社製の5577
ドット・インパクト・プリンタに出力することが通常であった。
ところが5577系プリンタはご存知のようにWindows系の市販のプリンタに比べて
非常に高価である。
そこでプリンタ・セッションを使えばIBM iのSCS印刷ストリームを
市販のプリンタでも印刷できる各プリンタ・メーカー用の印刷ストリームに
変換することができる。
プリンタ・セッションは特にPDT(Printer Definition Table=プリンタ定義テーブル)と
呼ばれる変換テーブルによる変換方式による変換が主流であった。
ところがこのPDTの選択や設定が面倒で特約店SEなどに頼らざるを
得ないことが多かった。
しかもIBMが次のようなアナウンスをしたのである。
Client Access はこれ以上Windowsのバージョン・アップには
追随しない。
CA400のWindwosサポートはWin10までとして
IBM Access Solutions(=ACS)を以降の後継とする。
IBM ACSとはかつて販売されたが人気のなかった Javaベースで開発された
Host on Demmand のことである。
それにしても HATSもあれほど騒いだのにどこに行ってしまったのだろう。
IBM HATSに高額な支払いをされたIBMユーザーのHATSは塩漬けになってしまっている
はずである。
弊社でもAutoWebの競争相手としてHATSが挙がっていたが全く名前を
聞かなくなってしまった。
元に戻ってIBM ACS(=Access Client Solutions)はJavaベースであり
実行には JDK(=Java実行環境)が必要であるのだが
今度は Javaの供給元である Oracle社がこれまで無料で使用可能であった
JDKの使用を有償にする、と宣言した。
そこでJDKを使わない5250エミュレータの必要性が注目され始めた。
5250エミュレータとしてはディスプレイ・セッション、つまり表示用の
5250エミュレータの代替製品はAutoWebを始めとしていくつかは
あった。
IBM特約店はこぞってある海外輸入製品を推薦したが Xボタンを押すと
セッションは切断を直ちに検知することができずジョブが浮いたままになるなどの
実用面で問題が多く実際に使えているユーザーがほとんど見たことがない。
特約店も売ることが目的であってユーザーの解決は考慮していないようである。
さてこれが印刷の5250エミュレータの後継となると対象製品はほとんどない。
問題は印刷の場合もWindows PCに何かのソフトウェア・モジュールをまた
導入したので以前と同じことで Windowsのジージョン・アップの影響を
受けてしまう。
そこで必要なことはIBM iから直接、プリンタへ印刷することができる
仕組みを作ることである。
では IBM iから直接市販のプリンタへ印刷する仕組みとはどのように
すればいいのだろうか?
それを次回以降で解説する。