RPG

432. RPGはなぜやさしいのか

IBM iというプラット・フォームでもJavaで開発することはできる。
しかしJavaで開発している企業法人は一社だけ見たことはあるが
それ以外の例は見たことがない。

IBM iの開発の前に学校や職業訓練でJavaを習ったことがある人も
いると思う。しかし社会で出てみると意外とJavaはもう使われていない。
米国の統計によるとJavaのプログラマーは全体の約30%いるが
その次のBasicでも5%くらいでRPGとなると0.3%程度だそうだ。
最近あるWeb会議を申し込んできたIBMユーザーは自社のIBM iを
別のプラットフォームに替えたいという意向を持っていた。
しかし一方で保有しているプログラムは何万本と自慢していたが
それを他の開発言語に変えるのは不可能であろう。
理由はRPGに比べて他の開発言語では

・開発生産性がRPGに比べて圧倒的に悪い

・実行時のトラブルが多い

・優秀なプログラマーがいない

との理由がある。いくらプログラマー人口が多くてもスキルのない人ばかり
集めてもビジネス向きの開発は到底無理である。
そのようなプログラマーを集めて本番稼動してもトラブル続きで
実務に耐えうることはできない。
それではなぜRPGが良いのだろうか?

・学習がやさしく短期間で習得が可能である。

・適当に作ってもコンパイルさえ通れば何とか動いてしまう。

・文書化しなくても開発が可能である。

 

・つまりはやさしい


RPGがあまにもやさしく開発できてしまうので他の開発言語も
こんなもので開発できるのだろうと思ってしまう傾向にある。
実際、いろいろなユーザーのプログラムを見ていると
しっかりと作ってある会社もあればそうでもないものもある。
RPGは適当に作ってもそれなりに動いてしまうのである。
他言語ではそになに甘くはない。

RPGはあまりにもやさしすぎるのである。
論理思考のないビギナーが適当に作ってもできてしまうし
ちゃんと動作する。
例えば帳票印刷や画面入力の簡単なプログラムは半日かそこらあれば
簡単に設計もせずにできてしまう。
IBMのユーザーはこれが当たり前と思っているだろうが
他言語ではそうはいかない。
詳細な画面設計に始まって仕様書を数日かけて綿密に記述して
それからコーディングに入っても一週間ではできないのが
普通である。
しかしRPGの開発者でRPGしか経験のない開発者はプログラムなど
半日もあれば十分であると思ってしまう。
それはRPGだからできることである。
 
実際、VC++やC#, Javaのプログラマーは詳細設計がないと
コーディングができない人達ばかりである。
そんな人に業務を教えてこんな画面を作れと言っても
不可能である。
Javaでの開発が優れているのであれば
Javaが企業法人に普及するであろう。
SunMicroも潰れることはなかったであろう。
Javaを法人が会社の仕事で使っているのは聞いたことがない。

■ 日本がIBM最大ユーザー大国

興味深い話を紹介しよう。
世界でIBM iユーザーが最も多い国はどこだと思うか?
それは日本である。
米国のFacebookのIBM iのグループを見て日本が
IBMの最大ユーザーの国であることを知ってなるほどと
感心したものである。

これは米国の経営はトップ・ダウン方式であるので
経営者の意思や命令が一番尊重される。
従って形式化されてパッケージ・ソフトの適合が
しやすい経営環境にある。
パッケージ・ソフトが普及しているのでIBMでなくても
他の言語のパッケージ・ソフトに変更するのも
簡単なのでいろいろなパッケージに置き換えられる。

一方で日本の場合はボトムアップの経営方式
社員の細かな意見が吸い上げられてシステムにも
反映されていく。
それゆえ会社の事情に応じた細かなカスタマイズされた
適用業務となる。
これはIBMの得意とするところなので深く日本の経営に
根付いているというわけである。

にもかかわらず無理やりIBM以外にリプレースしようとする
会社もあるが長年かけて築き上げてきた自社の貴重な
ソフトウェア資産を捨て去ろうという情報システム部門の
室長は自らの資産を放棄しているようなものである。

IBM iと自らの資産を捨てようと考えるより
IBM iの付加価値をより高めていこうとすることのほうが
なるかに優れているし自社の競争力を高めていくことに
つながりはしないだろうか?

弊社はソリューションの提供によって日本のIBM iユーザーが
保有しているIBM iの付加価値を高めて日本の企業法人が
世界の中での競争力を高めていくことを目標として
開発している。

自社の開発して保有しているプログラムのソフトウェア資産は
自社だけの貴重な財産であることを強く意識して頂きたい。