IFS のストリーム・ファイルやディレクトリーは 3文字コマンド と呼ばれる SAV
コマンドによって
BACKUP
できることは良く知られているが、逆にライブラリー・システムを IFS に保存することもできる。
ここで何故、あえてライブラリーを IFS に保存する必要があるのか? という疑問に答えるために
少し長くなるが、前置きの説明を行う。
世の中は挙げて、まさにクラウド時代である。
クラウドや Webサービスをどのように利用するかが注目されており、その中でも最もクラウドの
代表格が アマゾン (Amazon) の EC2 と S3 というサービスである。
Amazon の提供する Webサービスは AWS ( Amazon Web Services ) と呼ばれており様々な
Webサービスが提供されているが、その中でも最も有名であるのがEC2 (Amazon Elastic Compute Cloud ) と
S3 (Simple Strage Services ) である。
EC2 とは Windows サーバーや Linux, UNIX 等の OS と HTTPサーバーを提供するサービスであり、
固定IP も取得することができる。
S3 とはまさにクラウドとしてのハード・デスクの貸し出しであり 1GB 当たり 1ヶ月 15 円 程度で
利用することができる。
世界中どこからでも接続可能な UNIX 互換のハード・デスクが非常に安価で手に入れることができて、
設備も不要である。維持の手間も不要である。
EC2 + S3 を組み合わせるとレンタル・サーバーも不要であり、レンタル・サーバーが1ケ月当たり安くても
数万円が必要であるのに比べて Amazon のクラウド・サービスを利用すると恐らく数百円〜高くても
2〜3千円程度/月で利用できて品質やロード・バランスも保証されている。
IBM System i のライブラリーの BACKUP
も IFS に保管して、それを Amazon S3 に BACKUP
すれば
テープや BACKUP
の手間も不要となる。
実際、米国では System i のライブラリーを Amazon S3 に BACKUP
するソリューションが発表されており
日本国内でも S3 への接続を代行する業者も数多く現れてきている。
加えて OS Ver6.1 では iSCSI というプロトコルによって多くの外部のディスクを接続可能となってきており、
System i から Windows や UNIX の HDD に接続することができるという夢のような話まで伝わってきている。
そこで将来は Amazon S3 の利用も視野に入れるために、IFS への BACKUP
をここに紹介するような次第である。
1. *SAVF を作成する
CRTSAVF FILE(QGPL/TESTLIB) AUT(*ALL)
2. *SAVF にライブラリーを保管する
SAVLIB LIB(TESTLIB) DEV(*SAVF) SAVF(QGPL/TESTLIB)
3. *SAVF を IFS にコピーする
CPYTOSTMF FROMMBR('/QSYS.LIB/QGPL.LIB/TESTLIB.FILE') TOSTMF('/SAVLIB/TESTLIB.FILE') STMFOPT(*REPLACE)
- 後は、この /SAVLIB/TESTLIB.FILE を S3 へコピーするだけである。
インターネットの創世紀のその昔では町にはプロバイダーと呼ばれる接続拠点が溢れていたのを
覚えているだろうか ?
インターネットの創世紀ではネット接続が電話回線によるダイアル・アップであったために市内通話で
通話料金を安くするためにプロバイダーが町に溢れていた。
しかし ADSL や光回線の出現で固定接続となるとプロバイダーという業種が成り立たなくなって
跡形もなく消滅してしまったのである。
クラウド・サービスの出現はこれと同じでありレンタル・サーバーやデータ・センターもやがては
消滅してしまうであろう。
Amazon は米国の東海岸、西海岸とヨーロッパ、オーストラリアにおいて莫大なデータ・センターを保有し、
東京にもエッジ・サーバーを配置しており HDD を買いまくっている。
ネット・ブックの爆発的な普及は何よりクラウド化の事実を示している。